校 長 泉 宜 宏
淡い桜の花びらが風に舞い,自然の躍動感に圧倒されていた春から,あっという間に薫風そよぐ初夏に。更に季節は移ろい,紫陽花の映える梅雨を迎えます。「光陰矢の如し」と言いますが,月日の経つ速さを改めて痛感させられます。今,駒本の校庭ではシンボルつリーの椋の木をはじめ,花梨,杏,梅,石榴,桜,欅など,さまざまな若葉・青葉が,子どもたちの瞳のようにキラキラと輝いています。ランドセルがからだからはみ出していた1年生も,入学してほぼ2ヵ月が過ぎました。駒本の子どもとして,上級生にかわいがられながら伸び伸びと友達と校庭を駆けまわったり,自信を持って日々学習に励んだりしています。
さて,五月の下旬に4〜5年生と一緒に,柏移動教室に出かけてまいりました。柏学園のまわりは,手賀沼をはじめ自然の宝庫です。宿泊棟の周りには,竹林があります。大地にしっかりと根を張りっています。雲一つない青空を目指してぐんぐん伸びようとする竹は,まるで子どもたちが自分の力を伸ばしていこうとするエネルギーにも似た迫力があります。サワサワと風にゆれる姿も,さまざまな困難や障壁があっても柔軟に対応する子どもたちのしなやかさを象徴しているようでした。
竹細工でナイフを動かしている手,飯盒炊爨で薪をくべるまなざし,グリーンアドベンチャーでの樹木とのふれあいなど,自然の懐に抱かれながら,ふだんできない学びをしている子どもたちの輝く姿が数多く見られました。とりわけ感動したのは,「惻隠の情」を豊かに持っている心優しい5年生が,4年生の世話をする駒本の伝統が脈々と流れていることでした。
子どもたちは,一人一人がかけがえのない存在です。駒本のすべての子どもたちが,自分のよさを発揮し,柏学園の竹のようにすくすくと伸びて行ってほしいと願っています。
先月の29日(木)に,読売ジャイアンツの阿部慎之助選手と坂本勇人選手が来校して,子どもたちと交流しました。給食を共にしながら,阿部選手が子どもたちに「皆さんも夢を持ってほしい。夢があれば,辛くても頑張れると思います。ぼくも,自分の夢を支えに頑張ってきました。」と,スランプを克服し,今大活躍している阿部選手ならではのメッセージと夢をプレゼントしてくださいました。
子どもたちは駒本の木々のように,大地にしっかりと根を張り,青空を目指してぐんぐん伸びようとするエネルギーに満ちています。さまざまな教育活動を通して,自分ならではの世界を,しなやかに,たくましく実らせてほしいと願っています。
猫の子に嗅がれてゐるや蝸牛 椎本 才麿
(椎本 才麿・・・江戸・明暦の頃の俳人。大和の国宇田郡生ま れ。俳諧の師匠は,井原西鶴。)
昨年の暖冬とは打って変わって,寒い日々が続いています。でも,北風に負けないで,子どもたちは元気に登校しています。今年度の駒本の子どもたちの活躍ぶりは,どうだったでしょうか。
1年間を振り返りますと,今年度もたくさんの子どもたちとの琴線に触れる出会いや成長がありました。日々の国語・算数などの学習や学校行事に真剣に取り組んでいる一人一人の知的好奇心に満ちあふれるまなざしは,眩しいばかりです。人間として最も大切な,惻隠の情すなわち,自分より弱い立場の者をいたわる人間としてのやさしさ満ちあふれる子どもたちにたくさん出会いました。全校遠足,たてわり清掃,地域班遊びなど,駒本ならではの教育活動もそういうやさしさやコミュニケーション能力をはぐくむことにつながっています。
また,展覧会で見せた子どもたちの造形活動での感性の鋭さも,自然環境に恵まれた駒本で感性を磨いてきた証しだと思います。学力面や感性で,優れているだけではありません。日常の体育の学習や駒本伝統のふれあい運動会で培われた力を,子どもたちは陸上記録会や千駄木マラソン等でも遺憾なく発揮し,好成績を収めました。体力面でも,高い能力を実証したわけです。どんなときにも,最後まであきらめないでやりきる駒本の子どもたちは,私たちの誇りです。
さらに,歯と口の健康つくりに努力し,今年度「東京都学校歯科保健優良校」として表彰されました。すばらしいことです。この成果を子どもたちを愛し,慈しみ育ててこられた保護者・地域社会の人々と教職員との協働の成果として共に喜び合いたいと思います。
結びになりますが,保護者・地域社会の皆さまの数え切れないほどの温かいお力添えに心よりお礼を申し上げます。地域の学校としての存在感は,「あじさい祭り」や「白山まつり」等での鼓笛隊の演奏活動などでも発揮されました。25日(火)の卒業式を迎える六年生の子どもたちが,駒本の卒業生として自信と誇りを持って,更なる飛躍に向かって一歩を踏み出していく姿に大きなエールを贈ります。来年度も,私たち駒本小学校の教職員は,子どもたちの成長を,駒本の更なる飛躍のバネにして努力していきます。1年間ほんとうに有り難うございました。
新年,明けましておめでとうございます。
今年は,十二支の一番目となる子年です。メディアの報道では経済も政治も厳しい状況が続きそうですが,十二支のスタートの年を展望すると,何か新しい世界が開けるような気がしています。
さて,新年を迎えて子どもたちはどんな夢や希望を描いたでしょうか。また,どんな計画を立てたでしょうか。一人一人の子どもたちの夢や希望が実現するよう心から応援していきたいと思います。
地球温暖化の影響で,世界の屋根といわれるヒマラヤの巨大氷河がやせ細り,自然の摂理が失われつつあると言われています。ヒマラヤは,アジア文明を生み出したガンジス,インダスの源です。「地球の異変」は,人知を超えたものへ畏怖する心の大切さを私たちに暗示しているような気がしてなりません。21世紀の社会は,わが国だけでは立ちゆきません。世界の人々と力を合わせていくことが求められています。でも,どのように世界のグローバリズムが進展しても,私たちは母国語である日本語で,論理的に思考・判断をし,自らの力で物事を解決していく能力を身につけていくことが大切です。今年も,一人一人に応じた「学びの力」の定着を重視していきたいと思います。
「学び」は,未知の世界を理解していくことです。今まで知らなかったり,頭の中でわかったりしていても,はじめはなかなか思考がついていきません。でも,繰り返し繰り返しやっていくうちに,霧が晴れるように全体像がわかってきます。一つのことを理解し,壁を乗り越えると立つ位置も高くなります。その位置から見渡すと,また新しい課題が見え,次に進むべき方向がわかってきます。一歩一歩山を登っていくように理解を深めていくことは、子どもたちにとって大きな自信につながります。駒本の子どもたちが,今年も大きな夢や希望を持って一歩一歩「学び」を深めてほしいと願っています。そして,自分のことを慈しみながらしっかり学ぶとともに,地球のどこかには,いくら学びたくても学ぶことのできない子どもたちも存在していることにも思いを馳せる心豊かな人間になってほしいと願ってやみません。私たち教職員は,保護者,地域社会の皆さまの温かいお力添えをいただきながら,今年も子どもたち一人一人が楽しく学校生活を送れるように全力を尽くします。駒本の子どもたちが,将来世界中で活躍することを祈りつつ。
結びになりますが,子どもたち・保護者・地域社会の皆さまにとりまして,今年もすばらしい年になりますよう心から念じております。
木がらしや目刺にのこる海のいろ 芥川龍之介

